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大島旅行記-6

レンタル

 

宿から30分弱歩いて、バス停へと到着した。バスの出発は7:40ごろ、港から出る朝一番のバスの、次の便になる。もう1人、バス停で待っていたご婦人と一緒に乗り込んだバスは、高速バスの車両ではなく、一般的な都市バスの車両だった。

 

 

元町港に戻ってきた。海の向こうに、利島が見える。

昨日火山博物館で学んだところ、火山は長い歴史の中で噴火が何度も起こるが、その間溶岩による陸地の形成と波の侵食が繰り返すらしい。つまり、新しく噴火で陸地ができるまで、元の陸地はどんどんと侵食されて断崖となる。利島の周囲は、遠目からでも侵食された断崖になっている様子がわかる。次は、あの島へも行ってみたいなとぼんやり考えていた。

レンタサイクルのお店に行き、原付二種のスクーターを借りた。実は、スクーターに乗るのは初めてだ。免許の番号を書類に書いて、paypayで支払いをして、お店のお爺さんが軍手まで貸してくれた。都心で車を借りたりすると、車両の確認をしてくださいとか言われるのに、随分とあっさりとしたものだった。

 

 

オドメーターは23000km、うちのMT125ccよりも走ってないだろうか。ホンダ車じゃないので、ウインカーとホーンの位置も混乱しない。しかし、スクーターのレバーはどっちがどっちのブレーキなのだろうか。よく分からないまま発車した。

 

大島温泉ホテル

今日絶対に行きたい場所は、決まっている。大島の裏砂漠である。

だが、この朝早くにいきなり行くよりは、道中色々見ていきたい。

まず、三原山の登山ルートを今回の旅の中でこれから歩くという気はさらさらならないので、ひとまずバイクで行けるところまで行ってみたい。裏砂漠ではなく、表のルートということになる。三原山の表の登山口には、大島温泉ホテルがあるそうだ。昔の旅行でそこに行った記憶はない。昨日の昼に御神火温泉でふやけるまで湯に浸かったけれども、朝から入れる温泉があるなら今日も行っておきたい、バイクに乗ると体も冷えるので先に行っておこうということになった。

調べてみると、日帰り温泉は8時半か9時に閉まってしまう。現在元町で8時であるので、急いで向かうことにした。

 

 

着いてみると、やはりここに来た記憶がない。しかし、小学生の時の家族旅行では三原山に登ったはずなのだ。ここに一泊したのかもしれない。建物の外観も内装も、どこか古びた感じであったが、綺麗に清掃されているのが分かる。上品なというか、小綺麗な感じだ。

風呂に入ってみると、昨日の温泉とは違ってあまり塩素の匂いがしない。お湯もじんじんと熱い。これだけでも十分な気がするのだが、一番は露天風呂だった。扉を開けて外に出てみると、目の前に三原山が見える。この温泉はどうも少し高いところにあるようで、建物の真下には、それほど高くない樹木の海が広がっている。樹海はあるところまでで終わっていて、そこから先は、草木がほとんど生えていない黒と赤茶色の混ざった色の地面が広がっている。おそらく山肌は岩ではなくて、溶岩が砕けて砂と石の間くらいのものが地表をなしているのだろう。露天風呂に浸かって数分で、風呂場から人がいなくなった。ものすごい開放感で、登山道からも多分こちらが見えるだろうというくらい、視界に何も邪魔するものがない。当然、写真は撮れなかったので、景色が気になるならご自身で行ってみると良い。

一人旅をするのは久々で、一人でいる時には自分のご機嫌をとることが非常に大事だなと、もうあと6時間ほどでこの旅も終わりだというのに、ようやくそんなことを実感した。昨夜の強い風雨から、最高の風呂と眺望、そしてバイクの爽快感。昨日までに比べるとかなり上々な気分で、これからの予定を考えていた。

 

時間つぶし

温泉ホテルを出て、そういえばと思い出した。やはり伊豆諸島に来たのだから、島寿司は食べたい。本当なら、夕食として食べるべきだったのかもしれない。昨日波浮港に行った時、寿司の名店があるということも情報としては仕入れていたが、Googleマップを見てげんなりした。口コミ評価が、異常に高い。いやそれは、名店であることを疑わせない、素晴らしいことには間違いがないのだが、そんな人気店に一人で行く気概はない。今日の昼に行くとしても、日曜日だから、予約をせねば入れないだろうということも書いてあった。もう面倒で仕方がない。というわけで、他に島寿司を食べられるところはないのかと調べていると、大島ストアの近くに「いざなみ」というお店があり、そこではテイクアウトで島寿司が買えるらしい。昨夜Googleマップで目星をつけ、開店時間が10時半ということまで調べておいた。とりあえず、いざなみの開店まで時間を潰さなければいけない。

 


バイクで先ほど来た道とは別の道で元町まで下る。

 

 

 

牧場を過ぎ、展望台を過ぎた。御神火スカイラインというらしい。

ひとまず時間つぶしとして、家族旅行で寄った場所のうちの一つ、善菓子屋に行くことにした。ここは、いわゆる島の有名な土産物の、牛乳煎餅の工場である。牛乳煎餅は何種類もあって島ごとに作っている会社は異なっているが、さらに大島の中だけでも数種類あるらしい。善菓子屋の牛乳煎餅は白い缶に入っているもので、おそらく一番よく見かける種類のものだ。昔この工場に直接行って、売り物にならない割れた煎餅を袋いっぱいにもらった記憶がある。あの時は子供が可愛くてくれたのだろう、成人男性1人で行って、また同じようにもらえるとは思わないが、どんなところだったか見ておきたくなった。

 

 

工場は意外と住宅街の中にあって、周囲からすでに甘い匂いが漂っていた。扉を開けると、すぐに工場のフロアになっている。そこで働いているご婦人に話を聞いてみると、ここでは売っていないので、取り扱っている港のお土産屋さんを教えてくれた。とりあえずと思って行ってはみたが、結局以前来た時の情景は何も思い出せずじまいだった。

煎餅を買うのは出港の直前で良いかと思い、他に寄る場所を探した。おそらくこの近郊で行っていない、なかなか行きそうもないスポットとして、野田浜へと向かうことにした。

 

 

野田浜は良い景観だった。浜辺にでっかい犬を連れて散歩している人がいる。

 

 

対岸に、伊東の大室山が見える。

 

 

大きな船が、ゆっくりと目の前を通る。私と船との距離が少しずつ近づいて、画角の中の船が次第に大きくなる。最短距離からまた段々と離れていって、遠くなっていく。トイレに行って、人のいないところで一服して、さっき二度目の大島ストアで調達した菓子パンを食べた。海水浴をする時期でもないし、駐車場には車が数台停まっているだけだった。老夫婦が軽トラックを、私のバイクの近くに停めて、降りてどこかへ行ってしまった。

そろそろいざなみの開店時刻になる、空港の下を通るトンネルを抜けてお店へと向かった。